2. 視覚の錯覚 見ることは考えること
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2-1. 世界の知覚の方法
目の仕組みはカメラのアナロジー(比喩)で理解
カメラは受動的に外界の光学情報を固定する
人の視覚は能動的に情報を理解し、視覚体験を創り上げる情報処理を行う
知覚は最も確からしいことへの賭けである
等価刺激布置群は網膜上では同じ形になる=客観的に唯一の正解が定まらない不良設定問題から1つの解を選択的に導き出し他の解釈を無視する こうした情報処理ではトップダウンーボトムアップの情報処理が相互に影響しあって補完的に働く(パターン認識)→見えたものの決定 その他の知覚推論
生態学的視覚理論(ギブソン):環境の中に豊富に存在する視覚にとって必要な情報を網膜像からピックアップすることで環境の知覚が成り立つ。 2-2. 視知覚情報の変容
網膜像は2次元平面の投影像を3次元の立体を頭の中で再構成している。
両眼視情報は両眼視差が有名。しかし両眼視差だけが奥行き知覚を成り立たせているわけではない。(片目閉じても立体) 単眼視情報の代表的なものが運動視差。近くのものは早く、遠くのものはゆっくり動く。 感覚器が捉える外界の情報が変化したとしても、見ている対象はある程度安定して知覚される現象。
大きさの恒常性:同じ対象の大きさ知覚は網膜像に忠実ではなく、できるだけ同じ大きさで知覚されるように補正される。対象の同一性保持に有利。 位置方向の恒常性:網膜像の揺れに自分の運動情報を加味して補正を行っている。スタビライザー 形の恒常性:見る位置や角度が変わっても同じ形で知覚される。 錯視
ポンゾ錯視:同じ長さの直線を三角形で囲むと上の直線の方が長く見える。一般的に三角形が奥行き手がかりを作り出すためと言われる。大きさー距離不変説。 月の錯視:地平の月は天頂の月より 1.3~1.5倍大きく見える。人類が体験できる最も大きな錯視現象。地上の風景などの距離手掛かりによって大きさが補正されるという説。